2014年09月13日
ラフジャスティスなら冤罪多発も無理はない?
冤罪が起きやすいという反対理由について :
単純所持規制をやってる外国では冤罪が多発してるけど? :
ラフジャスティスなら冤罪多発も無理はない?
次に ②刑事訴訟制度のありかた ですが、
以前別館ブログでエントリした記事のソースを
提示しますので、参考にしていただきたいと思います。
海外の冤罪事例を盾に取った規制反対言論は意味がない
アメリカの刑事訴訟手続素描 PDF
このPDFを見てわかるのは、アメリカの刑事訴訟手続きが
とにかくラフジャスティスの精神に貫かれまくっている、
という事実です。いくつか羅列してみますと、
逮捕の 95 % が現場捜査官の判断による無令状逮捕。 その後、逮捕状を治安判事が発布するが、ほとんどフリーパス。 軽罪であれば逮捕も釈放もあっさり簡単に行われる。 取り調べは裁判所に送致するまでの48 時間以内に終了。 黙秘されたらそれで終わり。供述調書はA4用紙に1枚程度。 内容はレポート並みの薄さ。実況見分調書など無し。 補充捜査も裏付け捜査もしない。やってるヒマもない。 実況見分調書が無くて、交通事故の過失認定はどうするの? ↓ 一般人の陪審員に過失理論に基づいた認定などムリ。 獲得・保全される証拠も簡素なもの。 自白があれば、証拠調べも要らない。 そもそも、供述調書は裁判でほとんど使わない。 本番の公判で証言させる事の方が重要だし、 それ以前にほとんどが司法取引で公判前に終了する。 なぜアメリカの捜査はそこまでラフなのか? それは、公判での事実認定もラフだから。 とにかく書類は簡素化されている。 全部でA4用紙10枚程度。 それで充分裁判を乗り切れる。 その後検察官が訴追するかどうか選別する。 現場警察官への遠慮があるので不訴追にはしづらい。 重罪なら 9 割はそのまま訴追される。 時間が無いので、迷ったらとりあえず訴追してから考える。 裁判になるまで、検察官は被疑者や参考人と会わない場合もある。 もちろん検察官自ら調書を取ることなどしない。とにかく時間がない。 訴因はあるだけ全て積み上げる。 観念的競合とか併合罪とか考えない。 多ければ多いほど司法取引で優位に立てるし、 裁判官に突っ込まれたら、その場で削除すればいい。 保釈条件は緩い。4人に3人は保釈される。 薬物や銃の不法所持なら、保釈金は100ドルから300ドル。 保釈金の相場は有って無きがごとし。 人が変われば判断も変わって当然。 裁判官が1000ドルでいいと言っても、 検察官が抗議すれば15000ドルに跳ね上がったりする。 検察官は、証人がどのくらい使えるのか、使えないのか、 裁判の予備審問の時に大体のあたりをつける。 裁判では司法取引が常態化している。 被告が応じれば、裁判はすぐに終了するので、 ほとんどが有罪答弁を行って刑を軽くしてもらって終了になる。 終身刑相当の犯罪者に、共犯者に不利な証言をすれば、 懲役 5 年で済ませてやる、などと強引な取引をする。 裁判官は特に何も言わず、その通り判決を出す。 |
どうでしょうか?
どっちが良いか悪いかはともかくとして、
日本の細密司法とは全く事情が違うという事が
お分かりいただけるかと思います。
犯罪がタフな分、警察や検察の神経もタフでないと、
犯罪の多い国の治安を維持していけないって事でしょう。
その程度の大雑把さでも、十分犯罪を追及できるという
ラフジャスティスの精神が根付いているのです。
刑事訴訟手続きがこのように大雑把な実情であれば、
冤罪を懸念して死刑が廃止になるのも当然なのかもしれません。
実際、被告が否認した裁判は 20 ~ 30 % の割合で無罪判決が出ます。
減少させようとか、改善しようとかいう動きは見られません。
そのくらいの率で冤罪が含まれているという事が当たり前になっているのです。
日本の否認案件は有罪率 97 % 以上ですから、異常に高いことがわかります。
児童の保護意識の高さを含めて、日本との違いを
前提に置いたうえで海外の冤罪事例を見てみれば、
また評価もいろいろと違ってくるのではないかと思います。
あと手短ですが、イギリスの例も紹介しときます。
弁護士が取り調べ可視化に反対する理由 (web 魚拓) 被疑者の取り調べは、重大な殺人事件でも30分。 日本ではとても有罪にならないような証拠で有罪になっている例が多数。 ラフジャスティスなのでむちゃくちゃ薄い証拠で有罪にできる。 |
それでは、次のエントリからは、個別に海外の冤罪事例を
検証していきたいと思います。
児童ポルノ等関連事件(海外) | AFEE エンターテイメント表現の自由の会
このサイトのセレクトに加え、私の方でこれは有名かな?
と思える事例を集めてエントリしていきます。
基本的に日本語ソースだけで検証したいのですが、
必要があれば英文サイトも引用します。
いつものことですが、私の英語能力はかなり怪しいので、
鵜呑みにせずに各自ソースにあたっていただければ、と思います。
誤訳の指摘があればコメントしていただけるとありがたいです。
(この記述は原文のどこにあるのか?という質問があれば
それもコメント欄にて受け付けます)
(2014/10/7 entry)