2014年09月13日

検証 ・ 海外の冤罪事例  ベネディクト事件 1









         






冤罪が起きやすいという反対理由について : 
     
    単純所持規制をやってる外国では冤罪が多発してるけど? :

      検証 ・ 海外の冤罪事例  ベネディクト事件 1




児童ポルノ等関連事件(海外) | AFEE エンターテイメント表現の自由の会
      (web 魚拓)


1995年2月

 元ゼロックス社の上級エンジニア、ラリー・ベネディクト氏は
  児童ポルノ画像の取引容疑で家宅捜査される。 
   本件はハードディスク、フロッピーディスクなどの
    電子的証拠しか押収されておらず、 
   それらは警察が証拠品を保管していた地下室が
  洪水によって水没、破壊されてしまっている。 

1998年8月18日

 起訴され有罪が確定した場合懲役50年以下と宣告される。 

2001年6月

 ラリーは司法取引に応じ児童ポルノ容疑の罪を認めてしまう。 
  これにより37か月の実刑判決が約束され地方紙に
   プレスリリースが掲載、ゼロックスはラリーを解雇する。 

同年11月

 ラリーは雇ったコンピュータ専門家が証拠品中の
  著しい矛盾を発見したとして有罪答弁取消しを訴える。 

2002年1月

 地方裁判所判事デービッド・ラリマーは取消しを拒絶。
  懲役46か月を宣告される。 

同年8月後半

 答弁撤回の否認に対して上訴。


以降調査中


本人は無実を主張し米国政府の捜査記録には
数々の矛盾点が指摘されている。

不可解なことに、ポルノ画像の入ったファイルは
警察の証拠保管室に保管されている間に出現している。 
検事たちがパソコン内の違法画像ファイルを
見つけるまでに、5年近くもかかっている。


児童ポルノ配布容疑者をめぐる奇妙な疑惑:パート1
      (web 魚拓)
児童ポルノ配布容疑者をめぐる奇妙な疑惑:パート2〜食い違う証言(上)
      (web 魚拓)
児童ポルノ配布容疑者をめぐる奇妙な疑惑:パート2〜食い違う証言(下)
      (web 魚拓)
                          (以上、WIRED VISION の記事)
Larry Benedict's chilling tale makes me hesitate
      (web 魚拓)
zoominfo: Larry Benedict Wrong Larry Benedict?
Electronic evidence anchors porn case - CNET News
      (web 魚拓)



これだけ見るなら、確かに冤罪事件であるように思えます。
規制反対派が繰り出す数々の冤罪事件の中でも、
これはもっとも信ぴょう性と説得力がある
事例の一つである、とも思います。

ここで争点になるのは、何と言っても
押収されていたベネディクトのパソコンから発見された
児童ポルノ画像が、警察のでっち上げによるものかどうか、
という事でしょう。

WEIRD JAPAN の記事を見ると、

 「1995年に始まった刑事訴追」

と書いてあるので、ベネディクトが6年以上も裁判を
争っており、遅延にいらだった警察だか検察が、
パソコンに児童ポルノを仕込んで証拠とした、
という風に読めてしまいます。

児童ポルノ配布容疑者をめぐる奇妙な疑惑:パート1

 不可解なことに、ポルノ画像の入ったファイルと
ディレクトリー全体は、押収されたコンピューターが
警察の証拠保管室に保管されている間に出現した。

検事たちがベネディクト氏のパソコンにある
違法画像ファイルを見つけるまでに、
5年近くもかかっている。
画像ファイルは、「GIF」という名前の一番上の階層の
ディレクトリーに入っていて、すぐ目に付いたはずなのにだ。



現在のところ、ベネディクト事件を日本語記事で確認するなら、
AFEE か WIREDJAPAN の記事に頼るしかないようなのですが、
不必要に恣意的な記述がなされているように思われます。

CNET Newszoominfo 判決文PDFなどを見ると、
若干違った印象を伴って事件の概要が浮かび上がってきます。


1995年の家宅捜索後、ベネディクトが逮捕されたのは
おそらく1998年になってからですが、審理が長引いたのか、
2000年10月まで公判は開かれませんでした。

2000年になって、押収されていたベネディクトのパソコンから、
児童ポルノ画像が発見された、となっています。
もちろん、警察が仕込んだ可能性はあります。
しかし、本当に最初からそこにあった可能性もあります。

この時点での、ベネディクト側による抗議の記録を、
私は見つける事はできませんでした。
仮にもプリンタの心臓部を設計できるエンジニアにして
コンピュータオタクでもあるベネディクトが、
ディレクトリの上層から突然湧いて出た
ファイルの由来に無関心であったとは思えません。

しかし、少なくとも法廷は、警察の仕込ではなく、
最初から画像がパソコンにあったと判断したようです。

発見するのに5年もかかった、という事実に対する疑念は、
確かに合理的です。
しかし、ベネディクトの弁護士やマスコミの記事は、

 「あの判事の頭脳では我々の電子証拠の重要性を理解できない」

 「血痕や弾丸の線条痕の分析を行う人は、
  ファイルアロケーションテーブルやビットストリームデータを
    簡単に見失う」

などと、裁判所や警察が旧弊な証拠分析能力しか持たない
情報弱者であるかのような侮蔑的表現を用いています。

であるなら、パソコン内の証拠発見に時間がかかったという
事情にも、一応の理由と根拠がある、とするべきなのではないでしょうか?

私には、アメリカの刑事訴訟手続きの迅速さからして、
摘発から裁判まで5年以上もかかったという事実に対する
合理的説明が何も報じられていないのが気になります。

ひょっとしたら、発見はもっと早期だったかもしれないし、
パソコンの調査開始がもっと遅かったかもしれません。

この空白期間が何に由来するのかで、
証拠に対する評価も変わってくるのではないかと思います。



                 (2014/10/10 entry)

         







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captain_nemo_1982 at 19:50│Comments(0)TrackBack(0) 単純所持規制の問題点について 

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