2014年09月13日

タナー分類による年齢推定  + 捕捉 : 年令知情無過失責任









         









冤罪が起きやすいという反対理由について : 
     
      年令知情の問題 :

        タナー分類による年齢推定  
             + 捕捉 : 年令知情無過失責任





ちなみに、児童ポルノと疑わしき画像や動画に関して、
被写体の身元が特定できず、年齢が立証できない場合ですが、
警察の捜査過程でよくタナー分類というものが用いられます。

思春期の発現 (PDF)

ただ、この方法による年齢類推もいろいろ問題があり、

検察の主張を覆した「ロリ系女優の貧乳」 - 東スポWeb
      (web 魚拓)

警察も確信できないケースは放置する以外に手が無いようです。

<児童ポルノ>被害者1696人特定できず 07年検挙事件

しかし、裁判所がどう判断するかは別問題で、
タナー分類による検察の立証が認められたら、
「年齢がわからないけど所持してた」 性表現が
児童ポルノと認定され、有罪になる可能性があります。

 (上の東スポweb の記事でも 「論破された」 などと書いてますが、
  顔から(おそらく)陰部まで描写されている複数枚のCG画像による年齢類推と、
    顔を隠した胸だけの写真による年齢類推とでは、
     後者の方が困難度が高いのは当然の話で、
   それだけで前者の証拠能力が否定されるかどうかは疑問です。)


もっとも、児ポ法に過失罪はなく、第9条の無過失責任も
単純所持、自己目的所持には課せられていないので、
被告側が過失を立証できれば、あるいは無罪になるかもしれませんが、
この辺はまだ判例がないので何とも言えません。

まあなんにしても、警察の摘発を恐れるなら、
ヤバそうなものは全て捨てといたほうが無難だと思います。


2008-06-02 - 奥村徹弁護士の見解
 <児童ポルノ>被害者1696人特定できず 07年検挙事件







<< 捕捉 >>   年令知情の無過失責任とは?



児童ポルノ法の第9条に、こんな条文があります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制
 及び処罰並びに児童の保護等に関する法律


(児童の年齢の知情)
第九条  児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、
 第五条、第六条、第七条第二項から第八項まで
  及び前条の規定による処罰を免れることができない。

ただし、過失がないときは、この限りでない。


ちょっとわかりにくい条文ですが、素人なりに解説します。

まず、第五条とは、児童買春の斡旋です。
第六条は、児童買春の勧誘です。
第七条第二項から第八項までとは、児童ポルノの製造、頒布、提供、
もしくはそれら目的の所持、運搬、輸入などです。

要するに、2014年改正前からあった違法項目で、
これらの行為 (犯罪行為) をした場合、

 「児童の年齢を知らなかった」 

という言い訳は通らないという事です。

ただし、過失が無いとき、言い換えれば

 「18歳以上であると信ずるに至る相当の理由」

があれば、無過失責任を果たしているとして、
無罪になるかもしれない、という事です。

児童ポルノ法に過失処罰規定はないため、
過失があると認定されれば、無罪になります。
ただ、年令知情だけは、過失があっても有罪になります。
それも、検察が過失を立証するのではなく、
被告が無過失を立証しなければならないのですから
これはかなり厳しい要求を突き付けられていると言えます。

その他の違法行為、たとえば児童買春とか自己目的所持に、
この無過失責任は問われません。
それどころか、過失責任すら問われません。
   (ただし児ポ法の場合。各自治体の淫行条例によっては、
      無過失責任を問われる場合もあり)


ということは、被告が 「過失がある事」 を
証明できれば、たとえ買春相手が児童であっても、
所持していたエロ表現が児童ポルノであっても、
無罪になる可能性があるという事です。

「過失がある事」 の立証は、「過失が無い事」 の立証より
容易なのは言うまでもありません。 (本当に過失があれば、の話ですが)
買春罪や自己目的所持罪は、製造罪や頒布罪に比べて、
それだけ要件が緩和されていると言えます。

もっとも、どこからどこまでが 「過失がある」 という状態で、
どこからどこまでが 「過失が無い」 という状態なのか、
そのあたりの基準は私にはハッキリわかりません。

年令知情無過失責任の条項がある
青少年保護条例違反の判例に当たれば、
ある程度基準も見えてくるんでしょうけど。

児童買春1罪・15歳・年齢知情否認→求刑1年6月(千葉地裁)
   - 奥村徹弁護士の見解

      (web 魚拓)

いまのところ、年齢不知の主張で無罪になった判決には
お目にかかっていません。
きわどいのは起訴されていないのだと思います。


上記リンク先に、「17歳とは知らなかった」 という供述が
却下された判例が掲載されていますので、
ご覧いただければ参考になるかと思います。


               (2014/9/25 entry)


 
★ 2014/9/28 追記 ★

こちらは奥村弁護士へのインタビュー記事ですが、
児童買春で過失が認められて無罪になった判例が
紹介されています。


教師が中3女子を児童買春 「14歳だと思わなかった」は通用するか
      (web 魚拓)















         









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captain_nemo_1982 at 20:25│Comments(4)TrackBack(0)単純所持規制の問題点について 

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この記事へのコメント

1. Posted by 多摩武蔵守   2015年10月03日 22:35
> 検察が過失を立証するのではなく、
> 被告が無過失を立証しなければならない

 児童ポルノ法第9条については、奥村徹弁護士も以下のように解説しています。

「児童を使用する者と無過失」(弁護士奥村徹の見解)
 http://okumuraosaka.hatenablog.com/entry/20040627/2

「使用関係があれば、無過失を証明する必要があり、それは極めて困難。」

 ですので、児童ポルノ法第9条が「証明責任を被告人に負わせるもの」というnemoさんの理解は正しいと思います。
 ただし無過失責任を負わされる対象は「児童を使用する者」ですので、児童を使用しなければ、エロ表現を所持していようと、児童売春しようと、同条の適用はないと考えられます。
 問題は児童ポルノの場合に何をもって「児童を使用」と認められるかだと思いますが、これについては私の知る限り裁判例がないのでなんとも言えません。

 奥村弁護士も、第9条が児童ポルノ罪に適用されるかどうかについては、「児童ポルノ罪については使用関係というのは、珍しいと思います」と述べて、判断を下していないように見えます。

 なお以下は論旨には影響のない話ですが、気になったことがあります。

>  「18歳以上であると信ずるに至る相当の理由」
> があれば、無過失責任を果たしているとして、
> 無罪になるかもしれない、という事です。

 ここでは「無過失責任」を、「過失がないという責任」という意味で使われているように読めますが、「無過失責任」をそのような意味で使っている解説書などがあるのでしょうか。
 私は、「無過失責任」は「過失責任」に対比される言葉で、本来は過失がなければ責任を負わないところ、過失がないにもかかわらず責任を負う、という意味であると理解しています。
 製造物責任法の製造物責任や、民法の土地工作物責任、瑕疵担保責任が無過失責任の代表例です。
2. Posted by 多摩武蔵守   2015年10月03日 22:57
 同じように、過失がないことの証明責任を課した使用者に条文には、児童福祉法第60条があります。
 これは、「児童を使用する者は年齢確認の義務を負うと考えられるので、使用者が処罰を免れようとするには、使用者自らが、年齢確認の義務を果たしたにも関わらず年齢がわからなかったことを証明しなければならない」という意味であると説明されています。

参考:「淫行(青少年条例)の際の年齢確認義務についても、『最低限,戸籍謄本、住民票の写L.免許証等の公的文書を確認するか,児童本人の本籍地の役場に問い合わせる等することが必要である』となるのか?」(奥村徹弁護士の見解)
 http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/touch/20140423/1398074445

 推測ですが、児童ポルノ法第9条も、同じような理由で設けられたのではないかと考えます。

 なお、「無過失責任」はもともと民法の用語です。奥村弁護士も「ほとんど無過失責任になるわけですから」と述べていますが、これは過失がないことの立証が非常に難しいことを踏まえた上で、比喩表現として使っているものと考えられます。

 nemoさんも、

> その他の違法行為、たとえば児童買春とか自己目的所持に、
> この無過失責任は問われません。

 では、「過失がないにもかかわらず責任を負わされる」という意味合いで使われていると思います。
3. Posted by 多摩武蔵守   2015年10月03日 23:04
 私も、

> 無過失責任を負わされる対象は「児童を使用する者」

 と、正確さに欠けた表現がありますので、ここは

> 過失がないことの証明責任を負わされる対象は「児童を使用する者」

 と訂正します。

 一人で何度もコメントを投稿してすみません。
4. Posted by captain_nemo_1982   2015年11月29日 14:02


こちらも返事が遅れてしまったことをお詫びします。


>>児童ポルノの場合に何をもって「児童を使用」と認められるか

児童福祉法に比べて、使用の定義は広範になるでしょう。

買春あっせんや製造はともかく、児童ポルノの頒布、提供、
もしくはそれら目的の所持、運搬、輸入などに
無過失責任が課せられているからです。

普通なら、児童ポルノの頒布したり所持することを 
「児童を使用」 とはちょっと言い難いですよね?
でも条文にハッキリ入っているって事は、使用というより
利用とでも解釈すべき程度に定義が広がってるんじゃないでしょうか。


>>「無過失責任」を、「過失がないという責任」という意味で
>>使われているように読めます

と言うよりは、過失が無いと認定される程度に
注意義務、確認義務を果たすべき責任、
更にそれを立証する責任と言う意味で書いてます。

「過失がないにもかかわらず責任を負う」 というのも、
奥村弁護士のブログの判例にあるように、
たとえば年齢確認のために免許証や戸籍謄本、
住民票を取り寄せるとか、保護者に確認するとかの
注意義務を果たし、なおかつその行為の存在を立証できる
責任を負うという意味であれば、その通りだと思います。

仮に児童が実際は18歳未満であったとしても、
そこまでやっててなおかつ、
免許証が精巧な偽造品で、保護者もウソついてたと立証できれば、
無過失責任は認められると思います。


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