2014年02月23日

可能性 その2  「表現に影響されて性犯罪が増える」 が実証された場合





         









次に、

「ロリマンガなどの性表現が性犯罪の動機に
     強い影響を与える」


と実証された場合の、創作表現規制の可能性を考えてみます。


これは、可能性 その1 に比べると規制実現の可能性は
イメージしやすい事でしょう。

実際、「性表現に影響された」 という犯罪者自身の供述は
たくさん存在します。

子どもの犯罪被害データーベース 性犯罪
表現に影響された犯罪者 nemo 収集記事

また、学説的にも暴力表現の悪影響は実証されているので、
それを性表現に敷衍できれば、有力な客観的根拠の
ひとつになりえるでしょう。

しかし、供述にしても学説にしても、ずいぶん前から
そうであるにも関わらず、いまだにそのような根拠に基づいた
法規制が為されていないという事は、

それだけでは表現と性犯罪の因果関係を
 強く結びつけることはできない、
  もしくは表現の自由を制限できない、


とみなされているという事でしょう。

もっとも、将来的に技術革命による新たなメディア媒体が登場し、
テレビやインターネット以上の強力な影響力があると認められ、
新強力効果モデルをさらに推し進めた形で
学説として確立され、支持された場合、
その内容いかんによっては法根拠として採用されるかもしれません。

かなり先の話になりそうですし、可能性としても低そうなんですが、
仮にそうなった場合、どのように法が整備され、運用されるでしょうか?

個人的法益保護に基づく立法なら、

① 性犯罪者が逮捕、起訴される

 ↓

② 性犯罪者が所持していた、特定のロリ表現が
    犯行に強い影響を与えていたと認定される

 ↓

③ そのロリ表現が単体で性犯罪を幇助
   もしくは教唆できるだけの影響力があると認定され、
    頒布禁止、所持禁止などの規制を受ける
  (あるいは作者、出版社が刑事責任を問われる)




という流れになるのでしょうか?

これは、個人的法益保護のための表現規制として
現在でも認められている名誉棄損や侮辱罪、信用棄損罪、
さらには児童ポルノ法ともおなじ理屈です。

しかし、そのような運用はあまり現実的には思えません。
ロリ表現が悪影響を及ぼすという明白な根拠が
あるにもかかわらず、被害者が出るまで放置したとあっては、
治安維持と人権保護の観点からおおいに問題があると
言わざるを得なくなるでしょう。

また、マンガ等創作表現は実写児童ポルノと比べて
表現の態様が非常に多彩であり、
さらに日本では諸外国と違って物量や歴史の規模が大きく、
公にも一定の価値が認められています。

悪影響レベルの測定は専門的な知見と調査環境を要するでしょうから、
表現者としては違法基準がわからず、表現の自由の委縮を過度に招くなどの
デメリットや混乱は大きいものになるでしょう。

したがって、ある一定の基準をあらかじめ定めておいて、
危険度の高そうなロリ表現は前もって包括的に
頒布や所持を規制してしまうという形で法制化されると考えます。
そのほうが表現者含めた国民全体にとっても有益です。

 (親告の要不要、過失や未遂の規定に関しても
   さまざまな議論がありそうですが、ここでは割愛します)


そしてそれは個人的法益というよりも、集団としての国民の保護、
すなわち社会的法益保護の色合いが強くなります。
したがって、これも集団的人権がどのように解釈されるかが
大きなカギとなりそうです。



                   (2014/3/9 entry)


         







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captain_nemo_1982 at 14:25│Comments(0)TrackBack(0) 児ポ法の保護法益が人権でも創作表現が規制される可能性 

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