2013年04月29日

したがって残された道はただ一つ、脱中心化を行うこと、……アドホックでローカルな「抵抗」を行うことである


青識亜論氏との議論


       前の記事 : サブカルが自由に表現される場の保障は、「社会的に望ましい意見」という圧力を破砕する力の源泉としての意味がある  このカテゴリの目次 次の記事 : 言説の暴力、真理の中心化は、多くの場合、人びとの幸福につながらないだろう








 このエントリは 内閣府スレ★39 より引用しました



268 名前:captain_nemo_1982 ◆Rkh.UWPg4k [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 10:46:15 ID:Q6m4NT5W [1/25]

>>246-247

>>他者の視線を哲学の中心に位置づけた哲学者として、
>>ミシェル・フーコーという人物がいる。


フーコーを扱っているサイトをいくつか拾い読みしてみた。
彼が実際に同性愛開放運動にどう関わっていたのか知りたかったのでね。
 (ハッキリ言って青識氏の解説が無かったらチンプンカンプンだったろう。)

でまあ、やっぱり俺の興味は 「その高尚な理念を現実社会にどう繰り込むか」
ということにどうしてもなっちゃうんだけど、付け焼刃的な論評で申し訳ないが、
フーコーの理念は結局 「マイノリティを差別・阻害してはいけない」 という
別の社会的望ましさに依拠しないと現実社会では成立しない、と言う気がする。

実践に当たっては、否応無く 「内在的権力から自由になるべき」 という形で
内在的権力の論理を取り込まざるを得ない。
マイノリティの権利獲得運動において勝利するためなら、
悪いこととは思えないが、その辺はどう論じられているのだろう?


「同性愛者に対する差別をなくすべきと思いますか」 という質問があったとして、
本音では 「無くすのは無理。気色悪いから近づきたくない」 とか思ってても、
「差別はいけない」 という社会的望ましさに束縛されて、
「無くすべきと思う」 という回答を選択するってのは十分ありうる。

それは、社会的に望ましいことなのかどうか?
また、そのような一般大衆の情動は、
規制反対派にとって大きな武器になりうるわけだよね?


273 名前:captain_nemo_1982 ◆Rkh.UWPg4k [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 17:12:40 ID:Q6m4NT5W [2/25]

>>249

>>エロゲなども含め、サブカルが自由に表現される場の保障は、
>>そういう「社会的に望ましい意見」という圧力を破砕する
>>力の源泉としての意味がある。


サブカルの社会的役割をちょっと過大評価してるんじゃないかと思う。
言ってることは分かるけど、サブカル単体でそこまで大きな仕事は出来ない。

「奇妙な論理」 のマーティン・ガードナーによると、
「進化論がキリスト教義の背骨に与えた打撃の大きさは、
大きく見積もって見積もりすぎると言うことは無い」  と言うことだが、
現代社会では革命的なパラダイムシフトを促す発見と言うのは
思想・哲学・芸術、科学の分野ですら難しくなっているだろう。

前に 「歌は世につれ、世は歌につれ」 って言ったけど、
歴史的必然性を伴った社会思潮の流れに乗らないと、
サブカルはもとより思想や哲学の先見性が評価を見ることは難しいと考える。

小林よしのりの 「ゴー宣」 による自虐史観への攻撃は
リアルタイムで見聞したが、
共産主義崩壊により、それを思想的支柱としてきた戦後民主主義の凋落と、
アイデンティティの喪失に焦った左翼が飛びついた従軍慰安婦運動における
杜撰で穴だらけな贖罪意識の発動、と言う敵失に乗じたからこそ
あれだけの功績をなしえたのであって、何の前触れも無く
「戦争論」 で大東亜戦争を肯定しても、旧態依然の右翼的主張としか
受け取られなかっただろうし、
その後の猛烈なバッシングに耐え切れなかっただろう。

もちろん、サブカルが社会思潮に相乗すれば、旧来の内在的権力からの
解放を促す役割の一端を担えるだろうし、
 (俺に言わせれば、新たな内在的権力が割って入るだけだが)
そのような功績を有するサブカル表現は枚挙に暇が無い。

しかし、児ポ法反対運動において、
サブカル表現者たちがそのような仕事をしてきただろうか?
その出現が反対運動の突破口になりうると言うのは
>>68の言及と合致してるけど。

>>68 の言及とは、当ブログの社会の偽善にいかにつけこめるか (未完)
における文末のコメントを指します。











269 名前:青識亜論 ◆GJwX8m7K0g [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 15:42:15 ID:RkF/DM5a [5/6]


>>268

ネモ君の議論はしばしばフーコーの主張に対してぶつけられる意見なんだけど、
政治思想史家の小野紀明がこの問題に関して簡潔に答えているので、
その引用だけでこの問題に関しては議論を終えたいと思う。

  フーコーは(権力への)「抵抗」を主張することによって、
  やはり一つの真理を語っているのであり、
  その意味で彼もまた言説の暴力を行使しているのではないか、
  というよく知られた「自己言及性の逆説」について触れておこう。
  フーコーは、自分がけっして権力関係の「外部」から
  発言しているわけではないことをよく承知している。

  ……(フーコーの議論でさえ)新たな知による
  新たな権力的布置の構成に他ならず、
  そこでもまた権力は依然として存続していることに変わりはないのである。
  したがって残された道はただ一つ、脱中心化を行うこと、
  ……アドホックでローカルな「抵抗」を行うことである。

  ――小野紀明『政治理論の現在』、p.203



289 名前:青識亜論 ◆GJwX8m7K0g [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 18:51:55 ID:RkF/DM5a


>>273

歴史の中で何が決定論的に振舞うかというのは、大変に難しい問題だね。
昔の一部の歴史家のように、生産諸関係だと言い切れば話は単純なんだが、
歴史学の先端的研究(例えばアナール学派)は、
単純な唯物史観に致命的な打撃を与えた。
「大文字の歴史の終わり」も言われて久しい。

ヴァルター・ベンヤミンは『歴史の天使』の中で、
背後の瓦礫を凝視する存在として、歴史の天使の姿を描いている
  (クレーの「新しい天使」を引き合いに出しながら)。
彼の歴史に対するこの短い論評は、大変興味深いものなので、
暇があればぜひ読んでもらいたい(岩波から薄っぺらい評論集として出ている)。

ネモ君が歴史的必然とか、社会思潮、パラダイムシフトと呼ぶものは、
この天使を「未来のほうへと否応なしに運ぶ」強風のことであるが、
歴史の本質、すなわち天使が凝視しているものは、
未来ではなく過去に横たわる瓦礫である。
ベンヤミンが瓦礫として描いたのは、パリの町並み、
ポスターや子供の絵本、工場施設や劇場、
……畢竟、小文字で記されるべき、諸々の生活風景だった。
ベンヤミンの諸研究を引くまでもなく、サブカルはまさにこの中に含まれる。

変化の表れなのか、根本的原因を構成するのかはわからないが、
ともかく、サブカルが大きな物語の解体という流れの中にあるのは事実で、
フーコー的な意味での脱中心化を、現実政治ではともかくとして、
少なくとも思想的には達成しつつあるように思われる。
例えば有名な話だが、東浩紀などは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を
「ポストモダンの寓話」とまで称揚している


>しかし、児ポ法反対運動において、
>サブカル表現者たちがそのような仕事をしてきただろうか?

僕はサブカルのこうした役割を、
児童ポルノ法問題の原動力だととらえているわけではなく、
 (もちろん、ネモ君自身が認めるように、
  将来においてそうなる可能性はあるだろうが)
サブカルが「社会的に望ましい」という大きな物語を解体する装置となる可能性を見出しているだけだ。
中心化された戦後民主主義の物語が、どれだけ嫌悪すべき結果を生んだかは、ネモ君もよく知っている通りで、
サブカルが物語の脱中心化に役割を果たすのであれば、
児童ポルノもまたサブカルの一つとして擁護される必要がある。











274 名前:captain_nemo_1982 ◆Rkh.UWPg4k [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 17:13:44 ID:Q6m4NT5W

>>269

>>したがって残された道はただ一つ、脱中心化を行うこと、……
>>アドホックでローカルな「抵抗」を行うことである。


うーん、中途半端というか苦し紛れと言うか・・・・・・
思想家としての誠実的な態度と言えなくも無いし、
それで運動が上手くいけば別に問題は無いんだろうけれど、
現実には価値観の衝突によるアノミーを招来するだけでは?


308 名前:captain_nemo_1982 ◆Rkh.UWPg4k [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 20:26:55 ID:Q6m4NT5W [5/25]

>>289

>>サブカルが物語の脱中心化に役割を果たすのであれば、
>>児童ポルノもまたサブカルの一つとして擁護される必要がある。


そこがどうしてもあなたと意見が食い違うんだよな。
俺はサブカルは社会良識に叩かれてナンボだと思ってるし、
あんまり甘やかしちゃ為にならないと思うんだよね。
叩かれてこそ、反骨精神も芽生えるってもんでさ。
パターナリズムといえばそのとおりなんだけど。

余談だけど、以前例に出した映画版 「バトルロワイアル」 も
パターナリズムをめぐる寓話という構造を持っていて、
ラストにはそれを積極的に肯定する描写が登場する。
大人が子供に対して自信をもって向き合うことこそが、
現代社会の病理を解決する糸口である、といわんばかりに。










389 名前:青識亜論 ◆GJwX8m7K0g [sage]
     投稿日:2009/08/14(金) 00:44:52 ID:ZWYm8lhq [1/4]


>>274

>それで運動が上手くいけば別に問題は無いんだろうけれど、

今は運動論的な話をしているわけではないから。
脱中心化された真理と社会の関係は理想的だし……
それは、中心化された戦後民主主義に対する反発を持つネモ君なら、
ある程度は理解できるはず。


>現実には価値観の衝突によるアノミーを招来するだけでは?

多数の価値の並存は、アノミーと無関係だよ。
デュルケムの議論はもう少し込み入っているし、そもそもポストモダン的な
時代状況を彼自身が把握していたわけでもない。



391 名前:青識亜論 ◆GJwX8m7K0g [sage]
     投稿日:2009/08/14(金) 00:56:42 ID:ZWYm8lhq [2/4]


>>308

価値観の衝突こそが、表現を生み、多様化させる。
旧い社会的良識を掲げる人びとの価値観もまた、
表現としてそのアリーナに投げ込まれてかまわない。
 (「脱中心化」されるべきは、反社会的なサブカル的表現・価値観ないしは
  真理も含まれなければならない)

しかし、そのアリーナ自体を物理的権力で制限したり、破壊したりすることは、
そうした動きを妨げることになる。
西洋文化史を見れば明らかなことだが――まあ、もちろん、例外はある。
反動的な対抗改革がバロックの揺籃になったように
――とはいえ、長期的に見れば、
そうした社会で、多様な文化が生まれ育つということはほとんどない。
畸形的な抵抗文学や国策的な文化を除いては。

まあ、僕は大学のサークルで性愛史を勉強していたから、
その分野からの意見だけど。
くどくど歴史的な例証をあげれば、いくらでもできるけど、
前みたいに一回につき10レスのやり取りになっちゃうとお互い疲れるし、
またイモー虫君に怒られるので、大雑把だけどこのへんで。


>大人が子供に対して自信をもって向き合うことこそが、
>現代社会の病理を解決する糸口である、といわんばかりに。

弱いパターナリズムについては、反対派も含めて誰も批判してないと思うけどね。










280 名前:captain_nemo_1982 ◆Rkh.UWPg4k [sage]
     投稿日:2009/08/13(木) 18:06:49 ID:Q6m4NT5W [4/25]

>>269

>>したがって残された道はただ一つ、脱中心化を行うこと、
>>……アドホックでローカルな「抵抗」を行うことである。


ちょっと考えたんだけど、マイノリティが
脱中心化、アドホックでローカルな「抵抗」 を選択したとしても、
保守的な層が 「固定された社会的望ましさが必要」 という信念を押し通せば、
結局マイノリティが周辺に追いやられることは必然だよね。

ということは、「脱中心化が必要」 という新たな内在的権力を
社会に広範に浸透させない限り、ローカルな抵抗はまさに
ローカルに終わってしまう。
これについてはどう?










389 名前:青識亜論 ◆GJwX8m7K0g [sage]
     投稿日:2009/08/14(金) 00:44:52 ID:ZWYm8lhq [1/4]


児童ポルノ法そのものについてはともかく、
価値の再中心化なんかが受け入れられないほどには、
われわれの社会はポストモダン的だよ。

この問題はあんまり掘り下げると、理念と運動論の違いとか
 (レーニンとかの論理展開を参考にすると面白いかも)、
ポストモダンってそもそもなんだという話になるので、
ひとまずここで区切りにしたい。




                      (2011/4/4  entry)


       前の記事 : サブカルが自由に表現される場の保障は、「社会的に望ましい意見」という圧力を破砕する力の源泉としての意味がある  このカテゴリの目次 次の記事 : 言説の暴力、真理の中心化は、多くの場合、人びとの幸福につながらないだろう







トップページに移動



























captain_nemo_1982 at 13:00│Comments(0)TrackBack(0)青識亜論氏との議論 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔