2013年04月27日

検証・宮台真司が広めたメディア悪影響否定論 - 「有害」規制監視隊


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検証・宮台真司が広めたメディア悪影響否定論 - 
 - 「有害」規制監視隊

      (web 魚拓)



質の低い悪影響論があるように質の低い悪影響“否定”論も存在する。

「メディア上の性・暴力表現が、受け手である青少年を暴力や性的逸脱に向かわせるという『強力効果説』は、社会学者のジョセフ・クラッパーらをはじめとする数多くの実証的な調査研究の結果、現在までに、ほぼ否定されている」

というのがそれだ。今回は宮台真司・首都大学東京教授が広めたこの考え方について検証したい。


【「新しい」強力効果モデル】

 宮台教授はあるインタビューで

「暴力的なメディアを見ると暴力的になる、性的なメディアを見ると性的になる、といった考え方を「強力効果論」といいます。一九三〇~四〇年代にアメリカのクラッパーが数十回の調査研究を行ったのですが、その結果「強力効果論」は実証されませんでした。今に至るまでそうです」

「そのクラッパーが、代わりに証明したのが「限定効果論」です」


と話している。この説明は極めて不十分と言わざるをえない。

 『新版社会学小辞典』(有斐閣、1997年)で、1970年代以降は、「新しい」強力効果モデルが多数提出されている」とある。宮台教授は「新しい」強力効果モデルを無視しているのである。

クラッパーが委員を務めたアメリカ大統領委員会は1970年に発表した報告書で、悪影響の証拠がないこと等を理由に「同意のある成人に対する性的物件の販売、提示、配布を禁止する法はすべて廃止すべき」と勧告しているという。

一方、未成年については、「州は、一定の性的物件を未成年に対して商業的に販売しまたは販売のため陳列することを禁止する立法をすべきである」と勧告しているという。


【悪影響否定論の悪影響】

 以上のように、宮台教授が広めた悪影響否定論は科学というより、政治的なメッセージである。そもそも政治的なメッセージであるが故に広まった、と言う方が適切かもしれない。条例や法律による「有害」メディア規制に反対したい一部のメディアには、“待望の”悪影響否定論だったのだろう。それらのメディアは何の検証もせずに宮台説に飛びつき、専門家でもない人物の主張を無批判に取り上げた。その結果、根拠なき悪影響否定論が広まったのだからメディアの責任は重い。

研究成果を無視した悪影響否定運動は、効果的な教育的介入を邪魔することになりかねない。政治的理由で悪影響を否定する人々はこの点をどう考えているのだろうか。素朴な悪影響否定運動によって、教育の重要性・有効性が軽視される事態こそ憂慮すべきである。


【追記】

「検証・宮台真司が広めたメディア悪影響否定論」に関する宮台教授の「つぶやき」が彼のブログに掲載された。
      (web 魚拓)

本文および追記で取り上げたインタビュー等のすべてにおいて、宮台教授はクラッパーと限定効果論について述べている。これに対し、委員会のことは一言も触れていない。自説に都合が悪い、あるいはメディアや運動家が期待する内容ではないと考え自主規制したのだろうか。クラッパーを論拠に規制に関する社会政策を論じるなら、委員会について説明するのは当然だ。このことからも宮台説は「科学というより、政治的なメッセージである」と言うことができるだろう。





★ captain_nemo_1982 のコメント

引用にあたって、文章の順番を入れ替えたり
大幅に省略したりしているので、詳細は
リンク元を参照していただきたい。

クラッパーの限定効果論は、規制反対言論の中で、
表現を規制すべきでない根拠としてしばしば登場する。
表現の悪影響に対して限定的な効果はある、と認めるにしろ、
たいていは 「しかし、だからといって表現のみに悪影響の
原因を求めると、真の要因の追求・対策がおろそかになるので、
規制すべきでない」 などと結論付けられることが多い。

限定効果論自体は学問的知見かも知れないが、
結論部分のおろそかうんぬんは単なる政治的意見だろ?と
つっこみたくなってしまう。
表現の悪影響を認めることと、他の要因の追求は
いくらでも両立しうるから、そのような結論は意味を為していない。

しかし、たいていのクラッパーの引用は宮台真司氏を介して
孫引きされることが多いので、専門的学識のない一般人は
「専門家にひれ伏して」 反論できにくい雰囲気になってしまう。

今回引用した 「有害」規制監視隊の検証は
「クラッパー説を支持する宮台説」 に真っ向から反論しており、
宮台氏も自身のブログで反論しているが、
追記に指摘の通り、答えるべき点に答えていない、
という印象は免れない。

その後の宮台氏の再反論は、ブログを見る限り確認できないが、
もし「有害」規制監視隊の検証に膝を屈したということであれば、
ネットの規制反対言論に蔓延する悪影響否定論は
少なからず打撃を被ることだろう。

また、今回の検証を指して言う宮台氏の

「専門家だというだけで平伏す向きの典型で、困ったもの。」

というのも随分な話だ。
検証では、専門家だというだけでなく、その後学会で主流となった説を
根拠としているのだから、宮台氏はそれにまず反論すべき。

正直、私含め一般大衆のほとんどはメディアの影響論に対する学識など
持ち合わせていないだろうから、専門家だというだけでひれ伏すな、
といったって土台無理な話である。
今回のような識者同士の議論のやり取りを見て、
どちらが妥当か判断するしかない、というのが現実だ。

宮台氏が答えるべき点に答えていないのは明白だから、
部外者の素人としては、宮台氏に対して
「あなたが専門家というだけではひれ伏すことはできない」
と言わざるを得ないだろう。
 (宮台氏がこの問題を専門的に研究しているかどうかは知らないが)

結局宮台説は 「政治的メッセージ」 でしかない、
という見解は極めて妥当である、と評価できる。
学識者同士で意見が分かれる問題を、
一般人がどうこうできるはずがない。
やはり、メディアと悪影響の因果関係問題は
いかなる立場にしろ慎重に取り扱うべきであろう。

しかし、この「有害」規制監視隊自体の、
政治的立ち位置というのもよくわからない。
他のページを見る限り、各自治体の青少年条例などに対して
反対とまではいかずとも、慎重な制度設計や運用を
要求しているようだが、なんで宮台氏に喧嘩を売ってまで
メディアの悪影響論にこだわるのだろうか?
 (宮台氏に対しては、今回の件とは別に包括・個別指定の問題で
   批判的な立場を取っている様子)

その辺に詳しい方がいらしたら、是非ご教授いただきたいと思う。


 
★ 参考エントリ
     検証・宮台真司が広めたメディア悪影響否定論 (再掲)




                  (2010/12/22 entry)


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captain_nemo_1982 at 09:30│Comments(1)TrackBack(0)他サイトによる規制反対派批判 

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この記事へのコメント

1. Posted by わらぽん村の名無しさん   2013年07月26日 03:53
>宮台教授が広めた悪影響否定論は科学というより、政治的なメッセージである。

その証拠は全くないわけだけど

「暴力的なメディアを見ると暴力的になる、性的なメディアを見ると性的になる、
といった考え方を「強力効果論」といいます。
一九三〇~四〇年代にアメリカのクラッパーが数十回の調査研究を
行ったのですが、その結果「強力効果論」は実証されませんでした。今に至るまでそうです」

これは事実。

>1970年代以降は、「新しい」強力効果モデルが多数提出されている」とある。
>宮台教授は「新しい」強力効果モデルを無視しているのである。

だから?その提出された「新しい」強力効果モデルは正しい内容なの?
違うじゃん

>クラッパーが委員を務めたアメリカ大統領委員会は1970年に
>発表した報告書で、悪影響の証拠がないこと等を理由に

当たり前だ、影響なんてないもんね


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