2013年04月27日

不安を煽り続ける児童ポルノ規制反対派のデマゴーグGIGAZINE


他サイトによる規制反対派批判


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不安を煽り続ける児童ポルノ規制反対派のデマゴーグGIGAZINE
     - uemadaの日記

                   (web 魚拓)


 ここ最近のところ、GIGAZINEによると、児童ポルノ画像を勝手にダウンロードし保存するウイルスMELLPONが流行っているのだという。そしてこれに対して、


・・・ちなみに海外では「保存していたという形跡が残っていた」だけで逮捕されて裁判が起こされて有罪になっているため、「ウイルスに感染しただけなので単純所持にはならない」という主張もどこまで通用するかわかりません。


児童ポルノ画像を勝手に保存するウイルス「MELLPON」と児童ポルノ単純所持を通報するウイルス「Noped」 - GIGAZINE

と主張し、


児童ポルノ画像の単純所持がこれらの悪質なウイルスの仕業であることを証明できれば無実になるのでしょうが、どうやって証明すればいいのでしょうか



という。つまり、ウイルスに感染されれば誰しも犯罪者になりうるといい、さらに一般人も裁判にかけられてしまう、という旨主張する。これに関連して、次の似たような見解も示されている。


これを意図的に感染拡大させれば単純所持を違法化するとPC持っている人間は全て犯罪者になるわけで。


児童ポルノ画像を勝手に保存するウイルス
むぅにぃの駄文戯れ言/ウェブリブログ

これらに対し、本稿では、ウイルスが勝手に画像をダウンロードしてきても犯罪にはならないし、逮捕・起訴されるおそれもまずないのだ、ということを示したい。



 このたぐいの「特殊事例を一般化する」ような、児童ポルノ単純所持規制反対派の言説のいくつかに対しては、前回のエントリー(児ポ規制反対派の誇張する「単純所持」問題は起こりえないことである - uemadaの日記)やそのコメント欄においても言及した。そこでは、「犯罪」とされるには原則「故意」が必要なこと、また、司法による警察権力に対する抑制などを挙げ、規制反対派の提示する極端な問題事例に対して論駁を試みた。本件についても、同様の論理で反駁することが可能だ。つまり、ウイルスが文字通り「勝手に」児童ポルノをダウンロードしてくるのなら、「故意」に所持することにはならないのである。しかも、このような場合ではそもそも、本人の行為が全く介在しておらず、また本人の意思の及ばない所でおきたことである。そうであれば、本人に刑事責任を帰するなんらの謂われもないのである。つまり、よく誤解されるところだが、ここでの単純所持規制というのは、規制された物がただ単に「ある」という状態そのものを罰するというものではない、というわけである。したがって、『ウイルスに感染しただけなので単純所持にはならない』のである。

ところで、この点について、時事ドットコムによれば、与党の規制案も、念頭においているようだ。記事に示された与党案によれば、


…改正案は自己の性的好奇心を満たす目的で、18歳未満の児童の写真や電磁的記録を所持することを禁じ…

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008052200921:title (リンク切れ)

とある。つまり、与党案では「故意」のみならず「目的」をも犯罪の成立に要するとしているのだ。この目的や傾向のような主観的超過要素(構成要件の客観的な内容の認識を超えた、主観的な心情・意欲)が犯罪の成立に必要な要件として挙げられていると、犯罪を追及する側はそのことについての立証も要し、その分だけさらに手間がかかることになるのだ。



 次に、GIGAZINEは、ウイルスの仕業であることをどうやって証明するのか、と問題提起する。だが、ウイルスが入り込み、定型的な活動をするのであれば、立証は容易である。そのウイルスは、どういう記録を残し、どういう場所でどのような名前のフォルダを作るのか、画像の種類はどんなものなのか…、こうしたものを順次検討してゆけば、これほどウイルスの仕業だと立証のしやすい話もないだろう。ネット上にどんな類のウイルスが出回っているかは、あまたのウイルスセキュリティ会社が、日々競って表に出してくれているのだ。

ところで、この無実を~証明する、という物言いは裁判を前提としており、暗に、一般人も逮捕・起訴され易い状態になるということを示唆しているのだろう。これと同じく、巷に流布する単純所持規制危険論も、官憲がどこかれかまわず、よろこんで児童ポルノを探しに容易に家に押し入ってくるかのような前提を置いている。例えば以下の通りだ。


児童ポルノ単純所持で逮捕されることになれば、痴漢冤罪に続いて、何もしていないのに社会から抹殺される冤罪事件が発生しそうですね。


TONPY-MOONスタッフブログ:児童ポルノ画像を保存するウイルス「MELLPON」


この手のウイルスは感染した痕跡すらわかりにくくする等の進化を遂げる可能性もありますし、それこそ誰しもが「所持」し「逮捕」される危険性がでてきてしまうのではないでしょうかね?

チラシの裏(3周目)(リンク切れ)

だが、捜査機関は、本当にそう易々と捜査・立件を行うことができるのだろうか。まず、何を端緒として、一般人が家に隠し持って「単純所持」しているという児童ポルノを捜査し始めるのだろうか。そして、どのような内容の家宅捜索令状を、裁判所に請求するのだろうか。つまり、言わんとするところは、捜査機関は自分勝手な嫌疑だけで、あてずっぽうに家宅捜索という強制捜査を行うことができないのだということである。この家宅捜索を行うには、裁判所に令状を請求しなければならず、その令状には嫌疑の正当な理由の記載と、押収すべきものの特定をなさなければならないことになっている。この時点で、捜査機関が捜査対象として追う事ができる者はかなり絞られてくるというわけだ。

さらに、前記の通り、与党案によれば、『自己の性的好奇心を満たす目的で』所持するという文言で主観的超過要素を付け加えていることで、一般人に対して累の及ばないものなのだということを殊更に強調している。この内心の目的を立証するのは、小児性愛者であれば、日常の行動や所持品によって容易になしうるだろう。しかし、小児性愛者でない一般人がたまたま持っていたということであれば、その内心の目的というのを立証するのは極めて困難なのだ。したがって、事実上、児童ポルノに日常的に興奮し性欲を満たしているものにしか、法の適用はないといっても過言ではないだろう。そもそも、捜査機関の人員も無限ではなく、児童ポルノの捜査に割ける人員というのは限られているのだ。ならば何故、わざわざ嫌疑の定かではない一般人に難癖をつけて、もっと逮捕・立件のしやすいあからさまな児童ポルノ所持者に対する追及の手を緩めなければならないのだろうか

このように考えて行くと、規制反対派が念頭においているような、故意なくウイルスや偶然によってたまたまHDDに入り込んだ児童ポルノに対して、捜査機関がいとも簡単にそれを察知し、差押さえるために簡単に家宅捜索をし、しかも、それだけでは立件は無理だから、さらに証拠を捏造して無辜の一般市民をわざわざ犯罪者に仕立て上げるというのは、とても一般化のしにくい極めて例外的な事例だろう。そうした捜査手法をめぐる問題は、個別に都合よく持ち出すのではなく、犯罪捜査のあり方全般にかかわることとして考えなければならないものなのだ。



 以上見てきたような、規制反対派が、ありもしないような例外事例を一般化して、一般の人々を脅したり、不安を煽ったりすることの問題点というのは、前回のエントリーでも指摘したばかりである。彼らは今後も、不安を煽るようなネタを考え付くたびに、大げさにそれを書きたてるのかもしれない。

しかも、今回のウイルス事件で抱いた印象は、規制反対派こそ手段を選ばなくなってきたではないのかということである。GIGAZINEは、児童ポルノ画像を持っていたら通報するウイルスNOPEDというものも採り上げ、『このウイルスの挙動が正しいと感じてしまうのであればそれはかなり危険です。というのも、「目的は手段を正当化する」のであれば、それこそ何をやってもいいという話になり、いくらでも拡大解釈が可能になるため。そのためにウイルスを作ってばらまくというのであればもう本末転倒も甚だしいわけです』という。つまり、このウイルスは児童ポルノ規制賛成派が作成したことであり、彼らは『目的』のためになら『何をやってもよい』と考えている、というような主張をしている。しかし、真実は、ここまでみて来たことからするとGIGAZINEの見立てとは逆であり、規制反対派があえて人の不安を煽るように上記のウイルスを作ってばら撒いたというのがそうではないだろうか。もちろん、児童ポルノをダウンロードするウイルスMELLPONと一セットでの。あるいは、Winnyウイルスや原田ウイルスのような愉快犯なのかもしれない。いずれにせよ、児童ポルノ規制の意味を理解して賛成している者ならば、あえて児童ポルノを拡散させて公衆に晒したり、無駄に捜査機関の手を煩わせるようなことはしないのではないか。ともかく、この点についての規制派の仕業というGIGAZINEの見解は誤りであろう。




★ captain_nemo_1982 のコメント

今回のエントリで uemada 氏は、規制反対派定番の脅迫的言辞の
一つである、「PCウィルスによる児ポ冤罪」 に攻撃を試みている。

主張としてはおおむね同意するところだが、
「ウィルスの仕業であれば無罪立証は容易」 に関しては、
理系学生氏との質疑編 その2  で考察したことがあるが、
ウィルスに児ポ画像がデフォルトでパッケージされておらず、
画像掲示板などを広く自動検知して収集するような
機能をもつのであれば、そしてまたウィルス自体が仕事をした後に
自己削除する機能を持つのであれば、パターンによる
ウィルス認定は困難なのではないか?と考える。

もっとも、私はウィルスに詳しいわけではないので、
技術的にそのようなウィルスが作成可能なのかどうか
知らないが、uemada 氏がどう考えるのか聞いてみたいところ。

また、「ウィルス作成・頒布は規制反対派のしわざ」 の下りも
かなりきわどい主張と見受けた。
確かに GIGAZINE の記述がデンパなのは間違いないし、
好意的に見れば 「規制派よりもむしろ反対派の方にこそ
ウィルス冤罪を問題化させるメリットがあり、動機もある」 
と言ってるだけなんだろうけど、もし私が同じこと言うなら、
あくまで可能性比較の問題であると強調しとかないと、
普段から私が規制反対派を批判する常套句である
「推定有罪思想による冤罪体質」 と同じ言葉を
投げられてしまうだろう。

さて、今回のエントリの白眉は、本文もそうだがむしろ
コメント欄において本文の5倍くらいの分量で行われる
hajimemashite 氏との激論である。めちゃくちゃ面白い。
長いので引用してたらきりがないが、

「規制反対派に論理は通用しない。
彼らを論理で説得できるとも思ってない。
このエントリは、反対派の電波に呆れている
普通の人たちに向けて書いたもの」 
(注・かなり意訳です)

と最初に一発かましたにもかかわらず、その見立てが
正しかったことがコメント欄で延々と立証され続ける。

ここで見られる uemade 氏のディベート力は驚嘆すべきレベルで、
相手は完全に子ども扱いされているといわざるを得ない。
法や社会学の素養もふんだんに持ち合わせていながら、
その語り口はあくまで冷静で淡々と事実や論理を積み上げ、
確実に相手を追い詰め、そのホンネがあられもないもので
あることを詳細にさらしあげる。

途中、相手のあまりの物わかりの悪さに

「だから、普通の人ってなんなんだよ?」
「要するに、児童ポルノの製造や頒布も
認めろっていいたいんだろ?」
「同じこと繰り返さんでいいから、ちゃんと反論しろよ!」

 (注・かなり意訳です)

と若干キレ気味になるのはご愛嬌だが、
議論の内容にしても態度にしても、いろいろと
参考にしたい部分はたくさんあるのであった。



                  (2010/8/10 entry)


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captain_nemo_1982 at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)他サイトによる規制反対派批判 

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