2013年04月16日

カタルシス理論への固執が招いた自己否定 (というか自爆)


間違いだらけのカタルシス理論



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児童ポルノ規制による性犯罪の増加
      (web 魚拓)


次に、上から5行目に別ページへのリンクが張ってある
ランナー氏の規制に対する考えを見てみます。




規制に関する私の考え
      (web 魚拓)

思春期の青少年に対して性の扱いを一歩誤れば
大変な害を及ぼすと思います。
一番害を与えるのは、思春期の青年に「性はいかがわしいもの」
という思いを与えることだろうと思います。
そういうふうに思うようになった青少年は、
性をとても乱暴に扱うようになると思うからです。


それで、大人が、「性はいかがわしいから取り締まる」と言ったら、
思春期の青少年に与える害ははなはだしく大きいと思います。


(中略)


機械的に性表現を規制するのは、
性に関して無知な青少年に、
先ず、「性は全ていかがわしい」と先入観を与えることになると思います。
そうなれば、青少年にとって、性について考える事は
いかがわしい行為になってしまい、
性と他のとても悪い事(暴力など)との区別がつかなくなる
害悪が与えられるのではないかと思います。


 (中略)


そうでは無くて、性はいかがわしくなく、
性とは、性の相手を思いやるように成長するべきものであって、
大切なものであると教えることが大切と思っています。


これを見る限り、ランナー氏によるカタルシス理論肯定は、


「表現に接することにより衝動(性欲)が減少する」


という一般的なものとはやや異なり、


「性的自由度が大きい社会環境下では、性的秩序が向上する」


というような、フリーセックス思想によく似た構造を
持っていることがわかります。


ここでいうフリーセックスとは、俗にイメージされがちな
「性的放縦の肯定」 といった文脈ではなく、
ジェンダーフリー思想に基づく 「性別からの自由」
「性的自己決定権の自由・自立・尊重」 を重視した
セクシュアリティのありようについての思想を指します。


そして、そのような思想をもっともよく体現している国家としては、
性教育先進国として知られるスウェーデンが挙げられます。


[AML 1385] なぜ、性教育が必要なのか?
      (web 魚拓)
西欧諸国では早くから性教育の必要性と重要性が
指摘されており、例えばスウェーデンでは、
1955年に性教育の義務化が実施され、
1975年からは人間関係の教育という名称で、
具体的実践的な性教育の取組がなされるようになった。


“人間と性”教育研究協議会/Seikyokyo
      (web 魚拓)
欧米では、大人には性の表現の自由や「見る自由」も認めていますが、
見たくない女性や見せたくない子どもたちの「目にとまらない自由」も
確保するだけに成熟した社会なのです。
いわゆるゾーニング(棲み分け)ができているのです。

そして、スウェーデンのように性教育が当然の国では、
セックス産業が見事に衰退しています。
大切なことは、ポルノを法律で取り締まることではなく、
それを批判し選択できる力を子どもの頃から育む
性教育の確立なのです。


スウェーデンでは大臣の半数と、国会議員の四割が女性ですが、
この国は今から六〇年前から性教育が女性解放の政策と一体となって
大きな役割を果たしてきたのです。


小学校中学年用 「性の教育」
      (web 魚拓)
スウェーデンの「性」の教育で、くり返し強調されるのは、
セックスをする時には、相手をとても大事に
しなけれはいけないということである
が、
今日の日本のように、一方の性がおとしめられたり、
強者が弱者の性をないがしろにしたりするような“やる・やられる”式の
歪められた性情報が氾濫している中にあっては、
両性の平等と人権に視点をあてた「性」の教育が、
ますます必要となってくるのである。


このように、ランナー氏の考えとスウェーデンの性教育に
対する考え方はかなりの部分で一致しています。
 (上記以外でスウェーデンの性教育の実態に関する参考リンクを
   最後の方で紹介しておきます)


ところが、ランナー氏はスウェーデンに関してこんなグラフを
サイトに掲載し、


スウェーデンでも、以下の統計のように、ポルノを
規制すればするほど、性犯罪が増えて来たように見えます。



と、スウェーデンの性に対する社会の在り方を非難しています。


swe

   
画像をクリックすると大きな画像が別画面で開きます




そして、


何にしても、日本のアニメまでブロッキングするようなことは
しない方が良いのではないかとも考えます



などと、あたかも行き過ぎた児ポ規制が性犯罪を増やした、
といわんばかりの見解を披露しています。


スウェーデンと言えば、有名な1996年ストックホルム会議や
シルビア王妃によるアニメ・漫画批判など、
児童ポルノ規制に熱心な国というイメージがありますが、
実際にはイギリスやカナダのような規制先進国に比べて
それほど盛んではないという事実は、
ランナー氏作成のグラフにもはっきりと表れています。


上記グラフでは吹き出しでいろいろと規制の動きが書いてありますが、
ほとんどがアメリカやインターポール、国連の事例であって
肝心のスウェーデンの規制は児童ポルノ関連の2つだけ、
単純所持違法化が1999年というのも決して早い方ではありません。
 (デュトゥルー事件は1996年にベルギーで起こっています)
上記引用にもあったように、スウェーデンでは
セックス産業は盛んではなく、したがって表現規制も
それほど行われていないのです。


「強姦件数が急増している国は、表現規制も厳しい国ということに
なっていなくてはならない」 
と頭から信じ込んでいる
ランナー氏は、仕方なくアメリカやベルギーの事例を引っ張りだすという
強引な辻褄あわせをせざるを得なかったのでしょう。


スウェーデンの表現規制は厳しいものではなく、
したがって強姦件数急増の原因は
明らかに表現規制以外の所にあるのは間違いありません。


そして、ランナー氏による統計解釈の方法にのっとれば、
強姦件数の増加と、スウェーデンが国家として取り組んでいる
性教育の在り方との間にも因果関係が存在する、
ということを認めなければなりません。


カタルシス理論の論証に固執するあまり、
 (しかもその論証自体が間違っている)
自分の 「規制に対する考え」 を体現している
スウェーデンを全否定してしまったという事実を、
ランナー氏はどれほど自覚しているのでしょうか?



さて、最初の5行だけでも2つの大きな誤謬が存在するこのサイトですが、
このようなランナー氏の論理破綻は他にも沢山あり、
いちいち指摘していたらきりがありません。


よって、これ以降は、カタルシス理論を肯定している部分に
絞って批判していこうと思います。


 


              (2011/7/9 entry)




★スウェーデンの性教育事情 参考リンク

yamayuu18.tumblr
      (web 魚拓)

スウェーデンの性教育①|Sayaka's Lovely Life
      (web 魚拓)

思春期の性教育における男女別学習と男女合同学習の意味
      (web 魚拓)

スウェーデンの性教育報告 そのⅠ
      (web 魚拓)

スウェーデンの性教育報告 そのⅡ
      (web 魚拓)



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captain_nemo_1982 at 21:00│Comments(1)TrackBack(0)間違いだらけのカタルシス理論 

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この記事へのコメント

1. Posted by わらぽん村の名無しさん   2013年07月26日 04:34
>肝心のスウェーデンの規制は児童ポルノ関連の2つだけ、
>スウェーデンではセックス産業は盛んではなく、したがって
>表現規制もそれほど行われていないのです。

いやいや、単純所持違法化してるじゃん
どこが「表現規制もそれほど行われていない」のか
ブロッキングすらやっているじゃないか

>スウェーデンの表現規制は厳しいものではなく、

いや、厳しいから
その理屈だと、単純所持違法化してる国の表現規制は厳しいものではない、って事になるぞ

>したがって強姦件数急増の原因は
>明らかに表現規制以外の所にあるのは間違いありません。

ないない
規制してるのに性犯罪増えてるやん



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